入学にあたっての学長祝辞

2020年4月9日

新入生の皆さんへ

 皆さん。尾道市立大学へのご入学、おめでとうございます。この4月、本学には学部、大学院合わせて350名を超える新入生を迎えました。心より歓迎いたします。
 本来なら、入学式という場を設け、本学の教職員を始め、尾道市長、来賓、本学理事によって皆さんのご入学をお迎えするところでしたが、ご存じのように新型コロナウィルス感染症の拡大が続いている状態でありますため、残念ながら入学式を中止させていただきました。また、その後の年度始めのオリエンテーションや授業さえも例年とは大きく違う形になっております。落ち着かない状況のもとでの学生生活の始まりとはなりますが、教職員一同、全力でサポートさせていただきますので、その点につきましてはご安心ください。ただし、感染の予防には各自でご尽力くださいますよう、お願いいたします。
 さて、大学での学びというものは、高校までのそれとは大きく違う点があります。それは、解答の用意されていない問題に取り組むことがあることです。これまでは、いかに正解に行き着くか、あるいは試験の際にその正解を答えられるかという点に力を注いでいたかと思います。しかし、世の中にはまだ誰も解いたことがない問題がたくさん存在しておりますし、場合によってはこれまで正解とされていたものが実は本当の正解ではなかったということもあります。また、正解が一つではなく、複数の解答が示されることもあるのです。こうした問題に取り組むには、論理の力というものが必要です。問題点を見つけ出し、それを解決や解明するためには何が必要なのかを考え、そして証拠を集めるなどして結論を導き出す。また、それを他者に納得してもらうように説明することも必要です。思いつきやひらめき、あるいは記憶力に頼るのではなく、一つ一つ論理を積み上げて考えなくてはなりません。もちろん、大学1年生になってすぐにそれができるようになるわけはありません。4年間をかけて、じっくりとそうした力を身につけてください。
 こうした力をつける勉学は、実は楽しいものなのです。これまで、特に受験勉強というものにはどうしても辛い、苦しいイメージが強かったかと思います。しかし、本来、学問というものは楽しいものです。どうぞ、考えるという行為そのものを楽しめるようになってください。「楽しい」あるいは「楽しむ」という語を表す漢字は、「らく」とも読めます。「楽(らく)」という語には、エネルギーを消費するのを押さえることによって、辛い気持ちや苦しい気持ちがないようにするというようなイメージがあります。同じ漢字を使っていても、特に「楽しむ」という動詞を考えてみれば、もっと能動的、積極的な意味が出てきますね。労力をかけずに「楽(らく)」をするのではなく、ぜひ学問を楽しんでください。考えることを楽しむことができる人間は、一生成長することができますよ。
 尾道市立大学は、文字通り、尾道の公立大学です。そして、ご入学された皆さんを始め本学の学生は、広島や岡山からの方が多いのはもちろんですが、北は北海道から南は沖縄県まで、日本全国から集まっております。また、海外からの留学生もいます。まず、皆さんが本学に入学してくれたことは、尾道市にとって一番の地域貢献となっていることを意識してください。しかし、それだけではなく、積極的に尾道の街に足を運んでください。尾道のいろいろな場所に行ってみましょう。尾道のさまざまなイベントを見学、あるいは参加してみてください。そしてぜひ尾道を好きになってください。皆さんの故郷と比べてみるのもよいかと思います。それによって故郷の個性や特徴を改めて意識することがあるかもしれません。尾道を好きになることで、それぞれの故郷に対する愛着もより深くなるかもしれませんね。
 大学生活では友人との交流も大事な時間となることも多いでしょう。これまでは、ある程度近い生活圏の中で育った友人たちとの交流であることが多かったかと思われます。しかし、前述のように、いろいろな場所から学生が尾道市立大学に集っています。ことばの違い、食べ物の違い、あるいは習慣や考え方までも違うことがあるかもしれません。どうぞ、これまでの自分の常識と違うものを否定せず、むしろいろいろな視点や考え方を吸収するようにして、より豊かな人間性を育てていってください。偏見のない、広い視野を持つようになることも、これからの大切な学びです。2学部3学科の小さな大学です。学科や学年をこえて交流を広げてみてください。
 以上、皆さんのご入学にあたって、私の思いを述べました。改めまして、ご入学おめでとうございます。皆さんの学生生活が実り豊かなものとなることを祈念いたします。


 令和2年4月4日
  尾道市立大学 学長 藤沢 毅

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