2023年度 経済情報学部公開ゼミ研究発表会を開催しました

公開日 2024年01月30日

開催日時:2024年1月18日(木)17:00~19:00
場所:尾道市立大学内E棟401教室

昨年に引き続き会場は尾道市立大学での開催となりました。昨年度まではコロナウィルス感染症拡大防止のため、対面とオンタイム(ライブ)での開催でしたが、今年度は本学学生・教職員、市民の皆様に対して、対面での開催とさせていただきました。

発表者の4年生3名は各自の研究成果を発表し、その後の熱心にお聴きいただいた市民の方や教員からの質問に対しても的確にかつ明確に回答する非常に密度の高い充実した有意義な議論が行われ、発表者のみならず本学学生、教職員にとって、また市民の皆様におかれましても刺激を得られる貴重な発表会となりました。

 

当日の次第

学部長挨拶:前田謙二
経済コース:串田洋樹(荒井ゼミ)
経営コース:川上凜佳(小川ゼミ)
情報コース:神出伊吹(本田ゼミ)

 

発表要旨

串田洋樹(経済コース 荒井ゼミ)
「介護人材の確保に向けて」

本論文では、現在社会的に話題になっている介護人材の確保について考察しました。日本では、2024年に団塊世代の人々が75歳以上、即ち後期高齢者となります。後期高齢者になると介護が必要となる可能性が高まるため、日本は正に「大介護時代」を迎えつつあります。この介護需要が拡大していく中で介護人材の不足が問題となり、どのようにしてそうした人材を確保していくのかといった政策が必要となってきます。そこで、介護人材の確保に向けた政府と民間それぞれの取り組みについて検討しました。
また介護業界では、巨大資本を持つ企業による介護事業者の合併・買収が進んでいます。こうした業界を牽引する企業間の競争が激化しており、介護人材の獲得に向けた独自の取り組みを行っている事例もあり、そうした事例について紹介しました。今後、大手介護事業者によって経営や業務の効率化がなされ、人材の確保が進展する可能性があることがさまざまな取り組みから明らかになりました。

 

川上凜佳(経営コース 小川ゼミ)
「左利き用製品の研究」

本研究の目的は、左利き製品の需要を考察し、その後今後の市場の展望を究明することでした。まず、左利きの人口の割合の増加に着目し、本学学生へのアンケート調査等を実施し、調査を基礎に考察しました。左利きの割合は1割といわれていましたが、現在その割合は増加傾向にあることが分かりました。増加した理由は、矯正効果が見られないこと、差別意識がなくなったこと、多様性の考え方が広まったことが要因であると考えられます。
アンケート結果から(1)左利き製品の需要が高いこと、(2)ニーズが今後も維持されること等が分かり、左利き製品の市場を拡大させるためには、①ユニバーサルデザインの定義に左利きの性質を含めた商品開発、②消費者側からは左利きの人が実感していない「不便さ」を左利きのコミュニティ等が代弁し、そうした声を届けるシステムの構築、③声を受け入れる生産者側の体制構築が必要であることが究明されました。

 

神出伊吹(情報コース 本田ゼミ)
「欧文直訳表現に着目した古文への機械翻訳精度を向上させる手法の提案」

本研究の目標は、現代文から古文への翻訳精度を向上させることです。この目標を実現させるためのアイデアとして(1)欧文直訳表現を含む現代文の検出、(2)欧文直訳表現を別の表現に変換して翻訳、の二つがあります。
本研究では、①欧文直訳表現検出機能、②文章の言い換え機能、③翻訳機能といった機能が存在しており、このうち、②文章の言い換え機能と③翻訳機能は既存のものを使用し、①欧文直訳表現検出機能を実現するために、ナイーブベイズとBERTを実験し、性能を比較しました。その結果は、BERTを使用した場合の性能の方がナイーブベイズを使用した場合より高くなりました。
今後の課題として学習データ数の増加と翻訳精度が向上したのか定量的に評価することが挙げられます。

 

以上、経済情報学部公開ゼミ研究発表会についてご報告させていただきます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

 

串田さんゼミ発表会2023
串田さん発表

川上さんゼミ発表会2023
川上さん発表

神出さんゼミ発表会2023
神出さん発表