公開日 2024年10月01日
開催日時:2024年9月13日(金)13:10~13:55
今年度前期修了者1名の修了発表会をオンライン(ライブ)で開催しました。
夏休み期間中の開催となったにもかかわらず、本学学部生、院生、教職員、合計16名が参加しました。クラウドファンディングが成功するか否か、これを決定づける要因として心理学を援用した分析を行うという学際的な領域の研究内容に対して、活発な質疑・応答が行われました。
当日の論題および要旨
「解釈レベル理論(Construal level theory)によるクラウドファンディングの支援金額予測に関する研究」
起業初期の大きな課題は初期資金である。初期資金を調達する手段としてクラウドファンディングは非常に適した資金調達方法である。ほとんどのクラウドファンディングはAll-or-nothingを採用しているため、プロジェクトを成功させるために調達資金を増やすことが大きな課題となる。研究では、クラウドファンディングプラットフォームに公開されたプロジェクト情報を基に、そのプロジェクトへの支援金の額の推定を行う。Web クローラーを使用してクラウドファンディングプロジェクトのデータを取得し、ここから得られる情報を説明変数として重回帰分析を行い、目的変数であるプロジェクトへの支援金の額を推定する。本研究では心理学において提唱されている「解釈レベル理論」を導入し、さまざまな心理的距離がクラウドファンディングの資金調達のパフォーマンスに影響を与えるかどうかを調べた。
分析の結果、Kickstarterでは、時間距離(NF)、空間距離、社会距離- I、社会距離-you、および反仮定距離に含まれる単語が使用されるほど、プロジェクトが資金を獲得できる可能性が高くなることが判明した。逆に、より多くの仮定距離に含まれる単語を使用すると、プロジェクトに資金が提供される可能性が低くなることが判明した。Indiegogo では、空間距離と社会距離-Iが近いほど、プロジェクトが資金を獲得できる可能性が高くなる。逆に、時間距離、社会距離-you、および仮定距離に含まれる単語を使用すると、プロジェクトに資金が提供される可能性が低くなることが明らかになった。
以上、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。